発酵のぎもん vol.6
微生物が一切かかわらない発酵があるって本当?
微生物以外による発酵というものが存在します。「塩辛」が代表的な例で、「自己消化」と呼ばれ、魚などが死亡後に自分でもっている酵素で自分を消化することです。分解作用によりタンパク質がアミノ酸に変化することでうまみが増す仕組みです。
イカの塩辛は、新鮮なイカを塩蔵で保存していた際に、自己消化による発酵で旨味が増して生まれた食品です。また魚醤も同様に、イカや魚を塩蔵した際にでる上澄み液が使われています。いずれも腐らせずに発酵させるには最低10%以上の塩分濃度になります。
最近は健康志向の高まりから低塩分のニーズも増えていますが、上記とは異なり、塩分を抑え目にする分イカにアミノ酸を加えて塩辛のような味にして旨味や甘味を出していることが多くあります。本来のイカの塩辛は、イカとイカの肝臓と塩のみで発酵させるため、添加物を加えたものとは味がやはり異なります。
自己消化による発酵食品は、ほかにも酒盗(カツオ内蔵の塩辛)・うるか(鮎の内蔵の塩辛)・めふん(鮭の内蔵の塩辛)・アンチョビなど。魚醤の原材料も、イカ・いわし・ハタハタ・いかなごなど様々あり、郷土食の色が強くでているのが興味深いですね。
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